ESMA、デリバティブ取引義務に係る声明文を公表

2020.11.27作成

2020.11.27更新

ESMA、デリバティブ取引義務に係る声明文を公表

ESMA

ライセンス・規制

ブレグジットの移行期間終了後も同義務を継続適用する方針

欧州証券市場監督局(The European Securities and Markets Authority)【以下、ESMAと称す】は、ブレグジットの移行期間が終了する2020年12月31日以降におけるEUのデリバティブ取引義務(Derivatives Trading Obligation)【以下、DTOと称す】の適用に係る声明文を公表した。[1]

ESMAはブレグジットの移行期間終了後においても、現行のDTOを継続適用する方針だ。同局によると、DTOを継続適用した場合でも、金融システムの安定化にリスクを及ぼすものではないと考えており、2019年3月にESMAが公表した第二次金融商品市場指令(Markets in Financial Instruments Directive Ⅱ)【以下、MiFIDⅡと称す】適用計画書内でまとめられたデリバティブ規制アプローチを追認するという。

ESMAは、EUを拠点とする投資会社の英国支店を始めとする一部のカウンターパーティーにとって、この規制アプローチへの対応は困難なものになると認識している。しかしながら、英国がEUのDTOを導入すると共に、これらのカウンターパーティーがEUを拠点とする取引施設や、適格取引施設においてデリバティブ商品を取引することで、DTOを巡る問題を解決することできると見ている。尚、株式取引義務(Share Trading Obligation)【以下、STOと称す】に関しては、ESMAが同義務を適用しない特別な取引状況への対応を模索している他、FCAもSTOの適用に係るガイドラインを公表している。

現行の法律フレームワークに加え、欧州委員会(EC)が英国に対する同等性評価を認めていない状況に鑑みると、ESMAは他の規制アプローチを用いる指針を打ち出す余地はないという。同局はブレグジットの移行期間終了後においてもDTOの適用を図るべく、市場に十分な流動性が供給されているか引き続き注視していく方針だ。

official release 2020.11.27

出典元:

ニュースコメント

約6,000兆円規模に上るDTO対象のデリバティブ市場

ハードブレグジットの場合、最大6,000兆円のデリバティブ契約が無効になると見込まれていたことから、デリバティブ取引規制動向は、欧州各国当局や市場関係者から高い注目を集めている分野だ。ESMAは同分野を規制する取り組みを強化しており、2019年3月に公表した英国のハードブレグジット(合意なき離脱)に対応したMiFIDⅡの計画書においては、デリバティブ取引に係るレポーティング規制に関する計画を盛り込んでいた。今回、同局は現行DTOを継続適用する方針を示したが、ESMAの規制策においては、多目的取引施設(MTF)や組織化された取引施設(OTF)を通じたデリバティブ取引に加え、店頭(OTC)取引に関しては、認定公表機構(APA)を介して取引データの公表を義務付けている。他方で、ブレグジットを巡っては、同局が既に多岐にわたる施策を打ち出している。例えば、ESMAは英国CCP3社に第三国CCPとして認可を与える方針を示している他、ESMAは移行期間終了に伴う準備徹底を要請している。DTOを始めとする欧州と英国間の金融商品取引規制に関しては、現状、ECが同等性評価を認めていないことから、引き続き同委員会を始めとする欧州当局の動向に注目したい。

プラナカンカン
筆者:プラナカンカン
執筆家&投資家&翻訳家&資産運用アドバイザー
著者詳細

国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒

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