ESMA、財務情報に係る共通エンフォースメントの優先事項を公表

2020.10.30作成

2020.10.30更新

ESMA、財務情報に係る共通エンフォースメントの優先事項を公表

ESMA

ライセンス・規制

新型コロナウイルスの影響に鑑みて財務報告の透明性確保を要請

欧州証券市場監督局(The European Securities and Markets Authority)【以下、ESMAと称す】は、エンフォースメント(法執行)主体がEEA(European Economic Area、欧州経済地域)の上場企業によって作成された、2020年の年次報告書を監督する際に考慮すべき財務情報に関する共通エンフォースメントの優先事項(European Common Enforcement Priorities)を定めた声明文を公表した。[1]

ESMAは、エンフォースメントの優先事項を国際財務報告基準(International Financial Reporting Standards)【以下、IFRSと称す】と調和を取った他、財務報告の様々な分野において新型コロナウイルス(COVID-19)の影響が及び得ることを考慮し、十分な透明性確保の必要性を指摘している。また、同局は国際会計基準(International Accounting Standards)【以下、IASと称す】第1号財務諸表の公表やIAS第36号資産の減損、IFRS第9号金融商品及びIFRS第7号金融商品の開示、IFRS第16号リースを新型コロナウイルスの影響が及び得る重点分野として定め、IFRSや他の財務・非財務情報の報告義務を継続的に適用するよう求めている。

ESMAはエンフォースメント主体による年次報告書の監督に際し、非財務情報や代替的業績指標(Alternative Performance Measures)【以下、APMと称す】に関する情報の開示を求めている。具体的な項目としては、新型コロナウイルスが非財務面やビジネスモデル及び価値創造に与える影響に加え、リモートワークの導入及び従業員の健康・安全に関連したコンプライアンスの実施状況、気候変動リスク、APMに係るガイドラインの適用状況などが挙げられている。また、同局は発行体の経営層や監督当局の責任を明確にすると共に、内的整合性のある会計基準を遵守して作成された情報であり、且つ現在の市場環境を踏まえた質の高い年次報告書を作成すべく、監査委員会の監督機能の重要性も強調している。更に、ESMAはブレグジット交渉を注視し、発行体による経営活動や財務及び非財務情報に与える影響を明確にする重要性を指摘している。

声明文の公表に際し、ESMAの局長を務めるSteven Maijoor氏は以下のようにコメントしている。

新型コロナウイルスのパンデミックが、企業の非財務面に甚大な影響を及ぼしているため、年次報告書の透明性を確保することは、市場の信頼を維持する上で必須となります。2020年のエンフォースメント優先事項に関しては、新型コロナウイルスが発行体によるタイムリーな財務状況の公表に影響を与えていることを考慮しております。我々は、ソーシャル分野を含む非財務情報を適切に公表する重要性と、気候変動リスクを考慮した財務報告の必要性を強く認識しております。

Steven Maijoor, Chair of ESMA - ESMAより引用

ESMAと欧州各国のエンフォースメント主体は、IFRS及び関連規定の適用状況を監督すると共に、新型コロナウイルスの影響を受ける発行体による財務報告の透明性確保や、投資家保護及び金融市場の安定化に向け、企業をサポートしていく方針である。また、同局は今後エンフォースメント調査を実施し、2021年に調査結果レポートを公表する予定だ。

official release 2020.10.30

出典元:

ニュースコメント

欧州に新型コロナウイルス感染の第2波が襲来

新型コロナウイルスが猛威を振るい、グローバル金融市場が混乱をきたしていた2020年3月以降、ESMAは市場の安定化を図るべく、様々な施策を矢継ぎ早に打ち出している。例えば、ESMAはネットショートポジションの報告を要請した他、ESMAは通話録音に関する声明文を公表した。また、ESMAが空売り規制延長に同意する方針を示したことに加え、新型コロナウイルスの感染拡大による影響が懸念されているローン担保証券(CLO)の格付けや、上場企業の半期報告書及びIFRS第9号金融商品の予想信用損失(ECL)に関連した声明文も公表している。他方で、欧州では1日の新型コロナウイルス感染者数が過去最多を記録しており、今まさに感染の第2波が襲来している状況だ。欧州各国が再びロックダウンの導入に動いていることから、投資家は欧州経済の先行きを懸念している。欧州で新型コロナウイルスが再拡大する中、ESMAが市場の安定化や投資家保護に向けて如何なる規制策を講じるか注目したい。

プラナカンカン
筆者:プラナカンカン
執筆家&投資家&翻訳家&資産運用アドバイザー
著者詳細

国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒

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