ASIC、個人投資家向けのCFD規制策を正式導入

2020.10.26作成

2020.10.26更新

ASIC、個人投資家向けのCFD規制策を正式導入

ASIC

ライセンス・規制

最大レバレッジを30倍に制限

オーストラリア証券投資委員会(本社:Level 5, 100 Market Street, Sydney, NSW 2000 Australia[1])【以下、ASICと称す】は、個人投資家保護を徹底すべく、CFD取引に係る規制策を正式に導入したことを発表した。[2]

ASICが導入したCFD規制策においては、アセットクラスのボラティリティに応じたレバレッジ制限が設けられている。商品別の最大レバレッジは、メジャー通貨が30倍、マイナー通貨と金、主要インデックスが20倍、金を除くコモディティとその他株式インデックスが10倍、個別株式とその他リファレンス関連商品が5倍、仮想通貨が2倍となる。また同委員会は、2015年のスイスフランショックにより多くの投資家が預託金以上の損失を被ったことに鑑み、ゼロカット方式の採用を義務付けた他、近年、過剰な取引の要因となっている金銭的及び非金銭的なインセンティブの提供を禁止した。

2019年4月、オーストラリア議会で財務省関連法案の修正議決が可決されたことを受け、個人投資家に甚大な損失をもたらし得る金融商品を規制するASICの権限が強化された。続く、2019年8月にASICはバイナリーオプション・CFD規制策案を公表した。同委員会が導入した新規制策は、欧州証券市場監督局(The European Securities and Markets Authority)【以下、ESMAと称す】がバイナリーオプションの禁止及びCFDの取引制限を導入した規制策と調和のとれたものになっている。但し、ESMAの規制策においては、個人投資家のCFD取引における損失割合を含むリスク警告の掲載が義務付けられているが、ASICはリスク警告やその他のディスクロージャー規制を採用しない模様だ。尚、同委員会が公表した2018年データによると、バイナリーオプション、CFD取引を行った投資家の内、それぞれ80%、72%が損失を被っており、金額にするとバイナリーオプションで約4億9,000万ドル、CFD取引で約15億ドルの損失になったという。この結果を受け、ASICが規制強化に踏み切ったと見られている。

ASICがレバレッジ制限や強制ロスカット、ゼロカット方式といった新CFD規制策を導入したことで、オーストラリアを拠点とするブローカーの経営に大きな影響を及ぼすと予想されるため、これらの企業が如何なる対応策を講じるか注目したい。

official release 2020.10.26

出典元:

ニュースコメント

グローバル戦略を推進する豪拠点の金融サービスプロバイダー

ASICが個人投資家にとってリスクの高い金融商品取引の規制を強化する一方で、オーストラリア最大のリテールFXブローカーであるPepperstoneのCEO、Tamas Szabo氏が、同委員会の規制策に問題を提起している。また、現状において複数の規制策を遵守して事業を行っていることに鑑み、多くのブローカーが当局による新たな規制策の導入に対して疑問を投げかけている。このような市場環境下において、同国を拠点とする金融サービスプロバイダーが、新たな収益源となる市場を求めてグローバル戦略を推進している。例えば、シドニーを拠点にデジタル証券取引プラットフォームを提供するStakeは英国でブローカレッジサービスを開始した他、メルボルンを拠点とするフィンテック企業のAirwallexは1億6,000万ドルの資金を調達し、欧米や中東などの新市場開拓や企業買収に活用する意向を示している。オーストラリアで規制が強化される中、海外に活路を見出す金融サービスプロバイダーが、顧客基盤の拡大に向けて画期的なソリューションを提供することに期待したい。

プラナカンカン
筆者:プラナカンカン
執筆家&投資家&翻訳家&資産運用アドバイザー
著者詳細

国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒

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