TRAction共同CEO、新型コロナ禍の最良執行報告義務動向を考察

2020.10.14作成

2020.10.14更新

TRAction共同CEO、新型コロナ禍の最良執行報告義務動向を考察

ESMA

ライセンス・規制

ESMAは同規制策の効果に疑問を呈す

オーストラリア・シドニーを拠点に取引関連レポーティングサービスを手掛けるTRAction Fintech(本社:Level 22, 85 Castlereagh Street Sydney NSW 2000 Australia[1])【以下、TRActionと称す】の共同CEOを務めるQuinn Perrott氏が、新型コロナウイルス(COVID-19)の影響下における最良執行の報告義務に関する見解を示した。[2]

2020年3月末、欧州証券市場監督局(European Securities and Markets Authority)【以下、ESMAと称す】は、第二次金融商品市場指令(Markets in Financial Instruments Directive Ⅱ)【以下、MiFIDⅡと称す】第27条にて最良執行義務を定めた規制技術基準(Regulatory Technical Standards, RTS27)、及び第28条にて投資サービス会社の取引後情報開示ルールを定めた規制技術基準(Regulatory Technical Standards, RTS28)に基づく最良執行に係る報告義務要件を緩和していた。

これにより、金融機関各社はRTS27関連レポートの提出が不可能な場合、次期の報告期限までの間に極力早く提出するよう、期限の延長が認められている。また、ESMAは各国規制当局(National Competent Authorities, NCAs)に対し、取引施設へのモニタリングを優先すべきではなく、特にRTS27及びRTS28に基づく最良執行に係る報告義務期限に関しては、リスクに沿った監督の導入を検討する必要があると主張している。

ESMAによると、殆どの個人投資家が最良執行に関連したレポートを活用していないことから、同局はレポートの価値に疑問を抱いているという。また、金融機関及び取引施設にとってはレポート作成に伴う経営資源を投入せずに済むため、新型コロナ禍において最良執行に係る報告義務要件を緩和したことは適切な措置であったと見ている模様だ。

尚、新型コロナ禍においてESMAは様々な施策を講じている。例えば、ESMAは上場企業の半期報告書に関する声明文を公表した他、ESMAはCLOの格付けに関するレポートを公表している。2021年にMiFIDⅡレビューを控える中、個人投資家保護の徹底を図るべく、最良執行に係る報告義務に関連して同局が如何なる規制策を講じるか注目したい。

official release 2020.10.14

出典元:

ニュースコメント

民間レベルで強化が続く最良執行関連ソリューション

新型コロナ禍における最良執行報告義務要件の緩和に関しては、ESMAのみならず、キプロス証券取引委員会(CySEC)がC375通知を公表して同様の措置を導入した。加えて、FCAも最良執行の報告義務を緩和し、金融機関に対しては、顧客注文の執行やリスク管理を実施する上で様々な注文手法を考慮するよう促している。また民間レベルにおいては、更なる運用パフォーマンスの向上を図るべく、最良執行に寄与するソリューション提供が活発化している状況だ。直近では、スペイン・マドリード証券取引所などを運営するBolsas y Mercados Españoles(BME)が、最良執行や取引コスト分析に寄与する新ビッグデータプラットフォームをリリースした。またAdvanced MarketsがTradeforaと提携し、取引コスト及び執行分析サービスの強化を模索している。グローバルベースで運用会社間の競争が激しさを増す中、規制当局及び関連ソリューションを提供する金融サービスプロバイダーの動向を今後も見守りたい。

プラナカンカン
筆者:プラナカンカン
執筆家&投資家&翻訳家&資産運用アドバイザー
著者詳細

国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒

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