ESMA、英国拠点CCP3社に第三国CCPとしての認可を与える方針

2020.09.30作成

2020.09.30更新

ESMA、英国拠点CCP3社に第三国CCPとしての認可を与える方針

ESMA

ライセンス・規制

事業認可は2021年1月1日から18か月間適用される予定

欧州証券市場監督局(The European Securities and Markets Authority)【以下、ESMAと称す】は9月28日、英国を拠点とする中央清算機関(Central Counterparty)【以下、CCPと称す】3社に対し、ブレグジット後に欧州28か国でサービス展開できる第三国中央清算機関(Third-Country CCP)【以下、第三国CCPと称す】としての認可を与える方針であることを発表した。[1]

今回ESMAが選定した3社は、ICE Clear Europe LimitedとLCH Limited及びLME Clear Limitedとなる。

9月21日、欧州委員会(EC)は委任法令(Delegated Act)の修正版を公表し、第三国CCPに対する新たな規制・監督スキームを示すと共に、時限措置として、英国を拠点とするCCPに同等性評価を適用している。ESMAによると、同等性評価に加えて承認評価に関しても移行期間終了後に導入し、2022年6月30日までの18か月間適用するという。一方で英国金融行動監視機構(Financial Conduct Authority, FCA)は、ブレグジット後においても同国で事業展開を図るEEA(European Economic Area、欧州経済地域)のライセンス取得企業を認可すべく、パブリックコンサルテーションの実施を模索している。

ブレグジットの是非を問う国民投票が実施されてから数年後の2020年1月末、英国のEU離脱が正式に決まり、現在は2020年12月31日までとされる11か月間の移行期間に入っている。英国と欧州の政府及び規制当局は、ブレグジットによる混乱回避に向けて様々な取り組みを推進している状況だ。例えば、ESMAは移行期間終了に伴う準備徹底を要請している他、ESMAは2020年の監督業務計画を公表し、第三国CCPの再評価やティア2クラスのCCPを対象にした新モニタリングシステムの作成及び実施に取り組むという。

ブレグジットの移行期間終了まで残り3か月に迫る中、英国と欧州の交渉においてどのような決定が下されるのか、今後も政府及び規制当局の動向を見守りたい。

official release 2020.09.30

出典元:

ニュースコメント

ブレグジットを機に注目度が増す欧州中央清算市場

CCPはFXや証券、オプション、デリバティブ取引における当事者間のカウンターパーティーリスクを引き受け、清算及び決済機能を提供することにより、現行金融システムの中核を担っている。CCPが取引に介在することで、システミックリスクの回避やネッティングによる資金及び決済事務効率の向上などが期待できる。欧州の中央清算市場に目を転じると、今回ESMAから第三国CCPとして認可される予定のLCHは、ロンドン証券取引所グループ(LSEG)傘下において、固定金利と変動金利の交換など金利スワップ取引の清算で世界シェアの9割超を占め、圧倒的なプレゼンスを確立している。他方で、他の金融サービスプロバイダーも、ブレグジットを機に市場シェア拡大を模索している状況だ。例えば、CBOEがEuroCCPを買収し、欧州市場での決済サービス拡充を推し進めている他、ドイツ取引所傘下のユーレックスはクロスカレンシースワップの中央清算業務を開始した。英国を拠点とする有力なCCP3社が第三国CCPに選定され、継続的なサービスの提供が担保されたことで、今後は各社の顧客獲得動向に注目したい。

プラナカンカン
筆者:プラナカンカン
執筆家&投資家&翻訳家&資産運用アドバイザー
著者詳細

国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒

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