ESMA、ローン担保証券の格付けに関するレポートを公表

2020.05.15作成

2020.05.15更新

ESMA、ローン担保証券の格付けに関するレポートを公表

ESMA

ライセンス・規制

信用格付け機関の格付けプロセスなどの課題を指摘

欧州証券市場監督局(The European Securities and Markets Authority)【以下、ESMAと称す】は5月13日、欧州域内のローン担保証券(Collateralized Loan Obligation)【以下、CLOと称す】の格付けに関するレポートを公表した。[1]

ESMAは同レポートの中で、CLOの格付け動向を概観すると共に、監督上の懸念事項や中期的なリスク、信用格付機関(Credit Rating Agency)【以下、CRAと称す】の社内体制、CLOの発行体との関係性、業務オペレーションリスク、格付けプロセス及び分析手法に関する課題を指摘している。また、新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大によるCLOの格付けプロセスに与える影響に関しても懸念を示している状況だ。

ESMAはCRAの動向や格付け手法をモニタリングし、複数の課題を指摘している。具体的には、CRAがCLOの格付けを行う際、社内のCLO分析チームと企業分析チームが円滑に情報共有を行う必要があるという。また、CRAが格付けプロセスの独立性を確保すると共に、サードパーティのデータ利用などに付随する業務オペレーション上のリスクに対し、モニタリングの必要性を主張している。更に、CLOの格付け手法に対する透明性を確保するほか、市場動向を踏まえた徹底的な分析を行うよう求めている。

今回のレポートの公表に際し、ESMAの局長を務めるSteven Maijoor氏は以下のようにコメントしている。

我々はCLOの格付けに関して複数のリスクを認識しており、CRAがこれらの問題に対して適切に対応することを期待しております。新型コロナウイルスのパンデミックを受け、CLO市場は甚大なリスクに晒されていることから、CRAは市場環境の変化に対応する形で、厳格に格付け手法を見直す必要があるでしょう。我が局はCRAによる新型コロナウイルスへの対応を厳密に監督すると共に、CLO及び格付けに関連した潜在的なリスクをモニタリングする意向であります。

Steven Maijoor, Chair of ESMA - ESMAより引用

尚、新型コロナウイルス動向を巡っては、ESMAが空売り規制延長に同意したほか、MASが為替介入データ公表を前倒しした。更に、FCAが最良執行の報告義務を緩和するなど、グローバル各国当局が金融市場の安定化に向けた支援策を講じている状況だ。

今回のレポートは2020年3月までの情報を基にしており、新型コロナウイルスの感染拡大による影響を見極めるには時期尚早であるという。ESMAはCRAに対して、CLOの格付けを対象にした定期的なストレステストの実施と、主要な経済変数に基づくCLOの格付けの感応度に関する詳細な情報を市場参加者に提供することを求めている。

official release 2020.05.15

出典元:

ニュースコメント

新型コロナ禍で変調をきたすCLO市場

CLOは各金融機関の貸付債権を証券化し、ローンの元利金を担保に発行される債券のことである。CLOは支払い優先順位に応じて、シニア債やメザニン債、劣後債といった異なる債券が組成され、金融機関にとってはローンを市場性の高い債券という形にすることで、より機動的な資金調達が期待できるという。足元では新型コロナウイルスのパンデミックを受け、企業の財務状況が急速に悪化していることを背景に、世界的なCRAであるムーディーズ(Moody's)は、格付け対象とするCLOの約20%を格下げする可能性があると発表している。また、S&Pも既に450億ドル相当を格下げもしくはネガティブウオッチに指定しており、CLOを取り巻く市場環境は厳しいものとなっている。一部のエコノミストはグローバル経済がリセッションに陥ると、格下げペースが加速する公算が高いと予想しており、農林中央金庫や三菱UFJフィナンシャルグループなど、日本の機関投資家も保有するCLOの市場動向を引き続き注視する必要がありそうだ。

プラナカンカン
筆者:プラナカンカン
執筆家&投資家&翻訳家&資産運用アドバイザー
著者詳細

国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒

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