ESMA、2020年の監督業務計画を公表

2020.03.11作成

2020.03.20更新

ESMA、2020年の監督業務計画を公表

ESMA

ライセンス・規制

信用格付とデータクオリティ及び第三国CCPを重点監督

欧州証券市場監督局(The European Securities and Markets Authority)【以下、ESMAと称す】は、信用格付機関(Credit Rating Agency)【以下、CRAと称す】及び取引情報蓄積機関(Trade Repository)【以下、TRと称す】の監督と、第三国中央清算機関(Third-Country CCP)【以下、第三国CCPと称す】及び第三国証券保管振替機構(Central Securities Depositories)【以下、第三国CSDと称す】のモニタリングを重点監督事項として定めた2020年の監督業務計画を公表した。[1]

2020年のESMAの重点監督事項の1つであるCRAに関しては、信用格付に内包する様々なリスクやIT及び情報セキュリティ面の課題の認識、強固な格付プロセスの構築に優先的に取り組むという。また、信用格付のアクセス及びユーザビリティの向上、CRAの独立した監督機能の構築にも注力する計画だ。TRについては、データクオリティ及び当局によるアクセスの確保、ITやソフトウェア関連の内部監督のモニタリング、効果的な情報セキュリティやビジネスの継続性、災害復旧計画の策定に対し重点的に取り組むとのことである。

第三国CCP・CSDに関しては、両機関に対するブレグジットの影響のモニタリング及び英国を拠点とする第三国CCPを含む第三国CCP・CSDの再評価、欧州市場インフラ規則2.2(European Market Infrastructure Regulation 2.2, EMIR2.2)を遵守した新監督スキームの構築、ティア2クラスのCCPを対象とした新モニタリングシステムの策定及び実施に優先的に取り組むという。また、第三国CCPの潜在リスクやEC(欧州委員会)の等価性判定に基づく第三国CSDの適用評価にも注力する模様だ。

ESMAは監督業務計画と並行して、証券金融取引規則(Securities Financing Transactions Regulation, SFTR)と証券化規則(Securitisation Regulation, SECR)、ベンチマーク規則及び金融商品市場規則(Markets in Financial Instruments Regulation, MiFIR)に基づく新たな監督スキームの構築を計画しているという。尚、同局はブレグジットの混乱を最小限に食い止めるべく、移行期間終了に向けた各金融機関の対応状況のモニタリングを続けるとのことだ。

監督業務計画の公表に際し、ESMAのSteven Maijoor氏は以下のようにコメントしている。

我々は汎欧州の監督当局として10年目を迎えましたが、CRA及びTRの監督を強化していく意向であります。両機関の手数料やブレグジット関連のコンティンジェンシープラン(緊急時対応)、ローン担保証券に関連した信用格付評価、TRのデータクオリティなどにおいて改善が見受けられます。ESAレビューに基づき当局の監督責任が増すなか、我々はこの10年間において重要な役割を担ってきたと確信しております。当局はCRAやTRに加え、証券保管振替機構やクリティカルベンチマークなどの監督者として新たな役割を演じることを楽しみにしており、監督業務を通じて、秩序ある金融市場の構築や投資家保護、金融市場の安定性確保に寄与する考えであります。

Steven Maijoor, Chair of ESMA - ESMAより引用

ESMAが重点監督領域に掲げたCRAやTR、第三国CCP・CSDは、今後同局が規制強化を図る可能性があることから、新たな規制に対しより柔軟に対応する経営姿勢が求められそうだ。

official release 2020.03.11

出典元:

ニュースコメント

統一規制スキームの構築に躍起なESMA

監督権限が強化されたESMAはTRV関連レポートを公表するなど、欧州全域を統一的に監督するための新たな規制フレームワークの構築に向け、積極的に多岐にわたる規制策案を作成している。今回ESMAが公表した監督業務計画においては、CRAやTR、第三国CCPなどが重点監督の対象に定められたが、他にもオルタナティブ投資ファンド関連レポートを公表したり、エクイティ性商品のリアルタイムな統合テープの導入を推奨するなど、金融業界の様々なプレーヤーに関連した規制策の導入を検討している状況だ。他方で、FCAが英国CFDプロバイダーの利益減少を試算するなか、同国を拠点とする海外FXブローカーがブレグジット後を見据えた経営戦略を推進させている。例えば、FXCM ProはMaxxTraderを活用したオンボーディングを開始し、英国のみならず世界中に張り巡らされたホスティングセンターを活用したソリューションの提供を試みている。フィンテック企業がひしめき合う英国を始めとする欧州市場において顧客の維持・拡大を図るべく、海外FXブローカー各社が如何なる画期的なソリューションを打ち出すのか注目したい。

プラナカンカン
筆者:プラナカンカン
執筆家&投資家&翻訳家&資産運用アドバイザー
著者詳細

国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒

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