トランプ大統領、アリペイなど中国アプリの利用を禁止する大統領令に署名

2021.01.08作成

2021.01.08更新

安全保障上の脅威と認識

ドナルド・トランプ米大統領は1月5日、安全保障上の脅威になるとして、中国最大のeコマース運営会社であるAlibaba【以下、アリババと称す】傘下の決済プロバイダーAnt Group(本社:Z Space, No. 556 Xixi Road, Hangzhou, China[1])【以下、アントグループと称す】が運営するAlipay【以下、アリペイと称す】を含む、8つの中国アプリを利用した取引を禁ずる大統領令に署名した。[2]

大統領令によって利用が禁止されるアプリはアリペイの他、WeChat Pay【以下、ウィーチャットペイと称す】、CamScanner、QQ Wallet、SHAREit、Tencent QQ、VMate、WPS Officeとなり、禁止措置の発効は45日後である。米国内外のあらゆるアプリが個人情報にアクセスする権限を有する中、トランプ政権は利用を禁止したアプリが安全保障上の脅威になるとしている。また、同政権は米国人に対してアリババとTencent(テンセント)への投資を禁ずることを検討していると、ダウ・ジョーンズが関係筋の話として伝えている。

2020年10月、上海で開催された金融フォーラムに参加したアリババの創設者であるジャック・マー氏は、従来の手法で未来を規制することはできないと発言し、中国の金融システム及び国営銀行が支配する金融業界を批判していた。しかしながら、この発言を巡って金融当局による聴取が実施されたことにより、上海・香港証券取引所においてアントグループは上場延期を余儀なくされていた。

情報筋によると、中国人民銀行(People's Bank of China)【以下、PBoCと称す】は中央銀行発行の独自仮想通貨(Central Bank Digital Currency)【以下、CBDCと称す】であるデジタル人民元を活用することで、アリペイとウィーチャットペイの拡大を抑制する狙いがあるという。またCBDCを発行することにより、アリペイが提供するマイクロファイナンスの勢いを削ぐと共に、銀行口座を持たないアンバンクト(Unbanked)向けの金融サービスを提供し、商業銀行へ預金を還流させたい意向を持っている模様だ。複数のアナリストは、中国が米国に先んじてデジタル通貨の開発を推し進めるべく、CBDCの導入を加速させていると見ている。尚、PBoCはデジタル人民元発行に向けて規制強化を実施し、他のステーブルコインを禁止する方針を示している。

中国がアントグループの成長拡大を抑制していることに加え、米国でアリペイを通じた取引が禁止されることで、多くの中国人が利用する決済手段が限られることになり、中国政府が主導するCBDCの導入に勢いがつく可能性がある。米国及び中国の両大国が世界経済の主導権を争う中、引き続き目まぐるしく変化する金融業界の規制動向に注目したい。

official release 2021.01.08

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ニュースコメント

史上最高値を更新したNYダウ

市場で注目が集まっていた米国・ジョージア州連邦議会上院の決選投票で、民主党が多数派を握ったことにより、同党が大統領と上下両院の過半数を確保するトリプルブルーとなった。これにより、バイデン次期政権による追加経済対策やインフラ投資などへの期待感が高まっている状況だ。民主党が両院で多数派を握る見通しとなった6日の米国株式市場では、ダウ工業株30種平均が前日比437.80ドル上昇し、史上最高値を更新した。他方で、多くの金融サービスプロバイダーは良好なパフォーマンスが続く米国株式関連ソリューションを強化している。例えば、FXOpen UKが米国株式CFDの取り扱いを開始した他、Juno MarketsやHYCM、DriveWealthなども関連サービスを拡充している。バイデン次期政権は、感染拡大の続く新型コロナウイルス(COVID-19)への対応を含む追加経済対策を早期に打ち出す方針を示している。トリプルブルーを実現した同政権による万全の景気対策を背景に、米国株式は今後も良好な値動きが期待できそうだ。

プラナカンカン
筆者:プラナカンカン
執筆家&投資家&翻訳家&資産運用アドバイザー
著者詳細

国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒

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