東京証券取引所、システム復旧し通常通り売買再開

2020.10.02作成

2020.10.14更新

終日売買停止による投資家センチメントの悪化を懸念

株式会社日本取引所グループ(JPX、本社:東京都中央区日本橋兜町2番1号[1])【以下、日本取引所グループと称す】は、システム障害により停止していた株式などの売買を、10月2日午前9時より通常通り再開したことを発表した。[2]同社は10月1日、傘下の東京証券取引所において相場情報を配信するシステムに障害が生じたため、終日にわたり売買を停止していた。[3]

今回のシステム障害は、相場情報などを配信する基盤となるシステムのハードウェアが故障し、バックアップへの切り替えが正常に行われなかったことが原因だという。システム障害による売買停止時間は過去最長となり、数千種類に及ぶ株式売買に影響を及ぼす結果となった。札幌証券取引所と名古屋証券取引所及び福岡証券取引所に関しても売買が停止された一方で、先物などデリバティブ取引を取り扱う大阪証券取引所においては、通常通り取引が行われている。尚、日本時間午後0時44分時点において、日経225先物が0.2%上昇する一方で、ジャパンネクストPTS(私設取引システム)は4.7%下落している。

システム障害によって取引機会が制限されたことに関し、加藤勝信官房長官は極めて遺憾だと述べている。また東洋証券株式会社のストラテジストである大塚竜太氏によると、今回のシステム障害は投資家センチメントに悪影響を与える深刻な問題であり、今後日本株は下落する可能性があるという。加えて東海東京証券のシニアマーケットアナリストである仙石誠氏は、マザーズ市場の反応を注視しており、頻繁に売買する個人投資家にとっては、システム障害の影響は大きなものになり得るとの考えを示している。

過去に発生した東京証券取引所のシステム障害を振り返ると、2005年には同取引所初となる全銘柄の売買が4時間半にわたり停止され、当時の社長が相次ぐシステム障害への責任を取り辞任した。続く2006年1月には、旧ライブドアに強制捜査が入ったことをきっかけに、東京証券取引所に注文が殺到し全銘柄の売買停止の事態に発展、その後3か月にわたり取引時間を短縮している。2010年1月、同取引所は富士通株式会社【以下、富士通と称す】と共同開発した新たな株式売買システムとしてアローヘッドを導入したものの、2012年にもバックアップ機能の問題によって241銘柄の売買が停止するシステム障害が発生している。

今回、2012年と同じ要因によるシステム障害が発生したことに対して、アローヘッドの導入をサポートした富士通の広報担当である田中健雄氏は、最新状況を調査中であり、詳細内容の公表は控えると述べているが、システム全体の脆弱性対策が急務になるといえる。

official release 2020.10.02

出典元:

ニュースコメント

相次ぐグローバル証券取引所のシステム障害

日本の株式市場は6.15兆ドルに達し、米国と中国に次ぐ世界第三位の市場規模を誇っている。東京証券取引所の市場第一部には2,167銘柄が上場し、一日平均売買代金は約220億ドルに上る。2020年7月、JPXが先物・オプションの市場移管を完了させ、総合取引所として本格的に始動していた。また10月1日は、2020年度下半期相場が開始されると共に、日銀短観(全国企業短期経済観測調査)が発表される日でもある。加えて、前日の米国市場が大幅高となり、活発な商いが期待されていた中、システム障害が発生してしまった。グローバルベースで見ると、各国証券取引所でシステム障害が多発している状況だ。例えば、NZXはサイバー攻撃を受け取引停止し、8月に4日連続で取引停止に陥った他、ドイツ取引所もシステム障害によりXetraとユーレックスの取引を一時停止している。また、3月には新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大に伴い、NYSEがトレーディングフロアを一時閉鎖していた。度重なるシステム障害を受け、東京証券取引所を始めとするグローバル証券取引所は、早急に強靭なインフラソリューションに向けた追加投資が求められていると言えそうだ。

プラナカンカン
筆者:プラナカンカン
執筆家&投資家&翻訳家&資産運用アドバイザー
著者詳細

国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒

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