ゴールドマンサックス、新型コロナウイルスの影響で金の値上がりを予想

2020.04.01作成

2020.05.13更新

ゴールドマンサックス、新型コロナウイルスの影響で金の値上がりを予想

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投資家は金などの安全資産に資金をシフト

ゴールドマンサックス証券(本社:200 West Street New York, NY 10282 United States[1])は、新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大によるグローバル経済のリセッション入りを指摘した。[2] また、同証券は変曲点にある金への投資を推奨すると共に、向こう1年の間に1トロイオンス=1,800ドルまで値上がりする可能性があると予想している。[3]

金は他のアセットクラスと同様に新型コロナウイルスの感染拡大による影響を受けており、投資家は米ドルへの現金化を急いだ。金価格は3月初旬につけた1トロイオンス=約1,700ドルのピークから12%超下落し、3月23日の週には1トロイオンス=1,460ドルまで値下がりした。しかしながら、ゴールドマンサックス証券が金への投資を推奨するのと時期を同じくして、米国連邦準備制度理事会(Federal Reserve Board, FRB)が米国債などの買い入れ量を無制限とする追加の金融緩和策を講じたことにより、米ドルは下落する一方で金は4%超上昇した。複数の市場関係者によると、新型コロナウイルス危機を受け、多くの投資家が地政学リスクや経済危機時のヘッジ手段である金などの安全資産に資金をシフトしているという。

ゴールドマンサックス証券に加えモルガンスタンレー(Morgan Stanley)も、パンデミックと評される新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけに、グローバルリセッション入りを指摘している。複数のエコノミストは、米国のドナルド・トランプ大統領が同国の経済低迷を許容すれば、世界経済がリセッション入りを避けられるという予想を撤回している。ゴールドマンサックス証券は2020年の世界経済成長率見通しが1.25%に留まるとした一方で、モルガンスタンレーは0.9%に落ち込むとし、世界的なリセッションは基本シナリオであると予想している。

ゴールドマンサックス証券は、過去数日にわたる渡航禁止や隔離などの社会的距離をとる措置により、日常生活は支障をきたし、レイオフの大量実施や消費の大幅削減は規模及びスピードの両面で歴史的な水準に達しているという。また、多くの学校や店舗、オフィス、製造工場、建設現場などが閉鎖され、サービス消費や生産活動及び投資活動の減少により、米国のGDPが第1四半期は前期比年率6%減、第2四半期は同24%減、第3四半期は同12%増、第4四半期は同10%増を見込み、通年平均では3.8%減で着地するとコメントしている。尚、3月23日の週に発表された新規失業保険申請件数は約330万人に上り、新型コロナウイルスの感染拡大が景気減速に大きく影響を及ぼしている模様だ。同数値は1982年に記録した過去最多件数の5倍ほどに上り、一般的に同指標は景気減速ペースを反映するといわれている。

他方で、同ウイルスの影響を受け金融市場が不安定化するなか、TradepointがNDF合成ポジション関連サービスを強化するほか、CMEが金先物商品をリリースした。またSynOptionがFXオプション取引プラットフォームをリリースするなど、金融サービスプロバイダー各社がプライシングソリューションの提供を図っている状況である。新型コロナウイルスの感染拡大による金融市場への影響を見定めるためにも、引き続きグローバル各国で公表される経済指標に注目が集まりそうだ。

official release 2020.04.01

出典元:

ニュースコメント

コロナショックは金のサプライチェーンにも影響

スイスは数十年にわたり、金取引及び精錬において最も重要なハブ都市の一つだ。世界的な金の精錬業者であるValcambiとArgor-Heraeus及びPAMPの3社は、新型コロナウイルスの感染により1万人以上の死者が出ているイタリアと国境を接するスイス・ティチーノ州を拠点としている。3社は同州においてグローバル供給量の3分の1にあたる年間1,500トンほどの金に加え、銀などのその他貴金属を精錬している。しかしながら、こうした貴金属の一大精錬拠点であるスイスでも、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、足元で金のサプライチェーンに支障をきたしている模様だ。ValcambiとArgor-Heraeus及びPAMPの3社は、新型コロナウイルスへの対応を図るスイス当局が不要不急の産業の活動停止を要請したことを受け、同国での金の生産及び精錬を一時停止することを発表した。グローバル金融市場の不安定化やサプライチェーン問題などを背景に、引き続き投資家からの金需要は根強いものになりそうだ。

プラナカンカン
筆者:プラナカンカン
執筆家&投資家&翻訳家&資産運用アドバイザー
著者詳細

国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒

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