PwC、仮想通貨業界におけるM&Aおよび資金調達の鈍化を報告

2020.04.07作成

2020.05.13更新

PwC、仮想通貨業界におけるM&Aおよび資金調達の鈍化を報告

買収

仮想通貨ニュース

大手仮想通貨関連企業の事業拡大に向けた買収は継続

大手コンサルティングファームであるPricewaterhouseCoopers LLP【以下、PwCと称す】は、仮想通貨業界のM&A(企業の合併・買収)および資金調達が鈍化しているにも関わらず、大手仮想通貨関連企業を中心に企業買収が継続していることを明らかにした。[1]

PwCの報告によると、昨年の仮想通貨業界におけるM&Aの案件数は、2018年の189件から114件に減少したものの、純粋な仮想通貨関連企業による企業買収比率は同期比で全体の42%から56%にまで上昇したという。M&Aの総額は19億ドルから7億5,100万ドルへと76%下落しているが、PwCの仮想通貨部門で責任者を務めるHenri Arslanian氏は、大手仮想通貨関連企業が自社のサービス強化を目的に企業買収を継続していると言及した。一方、2019年の資金調達額は前年の40%減となる22億4,000万ドルを記録し、案件数自体も122件にまで落ち込んでいるようだ。しかしながらPwCは、2019年のシードラウンド後の資金調達額が前年から8%増加した事実を指摘しており、仮想通貨業界が成熟に向かっていることを示唆している。

また、Arslanian氏はこの仮想通貨業界の動きに次のようにコメントした。

一部の大手企業は、競合他社に直接的な買収を仕掛けるのではなく、事業を補完する動きを見せています。これらの企業は垂直統合よりも水平統合を選択しており、タコのように様々な事業分野に触手を広げているのです。業界が成熟するにつれ、案件の流動性やエグジットの可能性が向上するため、多くの仮想通貨分野のベンチャーキャピタルが成功を収めるようになるでしょう。我が社は欧米の大手企業が事業拡大の観点からだけでなく、戦略投資の資金調達においてもアジア市場に注目していることを目の当たりにしています。

Henri Arslanian, Global Crypto Lead at PwC - CoinDeskより引用

この報告書の中でPwCは、昨年の第2四半期および第3四半期にかけてのビットコイン(Bitcoin)価格の上昇が資金調達額の落ち込みに歯止めをかけることはなく、反対に2020年初旬からの世界経済の後退がその傾向を拡大する可能性があると主張した。実際に先月にはビットコイン価格の暴落を受け、ローン市場でマージンコールが発生するなど、仮想通貨を担保にした借入による資金調達スキームが崩壊しつつある。それでも欧州およびアジア地域での規制環境の整備が進んだことを背景に、2019年には仮想通貨市場におけるベンチャーキャピタルの関与が倍増しており、徐々に影響力を強め始めているようだが、仮想通貨業界はどのように偏移していくのか、今後もその動向を見守っていきたい。

official release 2020.04.07

出典元:

ニュースコメント

資金シフトの流れが始まった仮想通貨業界

これまで仮想通貨業界におけるベンチャーキャピタルの投資は、そのほとんどがブロックチェーンのインフラ開発に割り当てられていたが、2019年にはコンプライアンス関連ソリューションに多くの資金が流入しているようだ。また、地域別ではその比重がアメリカ大陸からアジアや欧州地域に大きくシフトしており、昨年はM&Aおよび資金調達の大半が米国外で行われたという。特にアジア地域ではシンガポールの仮想通貨業界に多額の投資が流入するなど、一部市場が目覚ましい発展を遂げている。一方、個人向けのサービスでは大手取引所のKrakenがインド市場への事業拡大を決定すると同時に、競合のバイナンスなども同国への参入を見据えた企業買収を行なっている状況だ。その他にも香港には仮想通貨関連企業が集中しており、機関投資家向けサービスが活発になってきているだけに、今後しばらくこの資金シフトの流れが継続する可能性は高いと言えるだろう。

Zero(ゼロ)
筆者:Zero(ゼロ)
著者詳細

米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。金融ライターとして独立後は、仮想通貨およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。投資のヒントになり得る国内外の最新動向をお届けします。

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