OANDA、全米先物協会からの除名や業務停止の可能性

2021.03.15作成

2021.03.15更新

OANDA、全米先物協会からの除名や業務停止の可能性

OANDA

FX業者 (ブローカー)

繰り返されるコンプライアンス違反

米国の大手海外FXブローカーであるOANDA Corporation(本社:10 Times Square New York NY 10018[1])【以下、OANDAと称す】が、全米先物協会(National Futures Association)【以下、NFAと称す】の業務行為委員会(Business Conduct Committee)による訴状を受け、NFAからの除名や一時的な業務停止の可能性があることが明らかになった。[2]

NFAによると、2018年5月、OANDAがプライベートエクイティファンドであるCVC Capital Partnersに買収されて以来、コンプライアンス違反の頻度と程度が増しているという。同協会は2018年と2019年にOANDAによる複数のコンプライアンス違反を確認しており、違反の程度を踏まえて是正を求める指導を行ってきていた。しかしながら、同社のコンプライアンス体制に改善が見られないことから、NFAの懲戒処分対象となったという。

5件それぞれのコンプライアンス違反事案を確認すると、1件目に関しては、OANDAがNFA法令遵守規則第2-9条(c)に違反するという。2020年に実施した調査において、NFAはOANDAの顧客が口座をハッキングされ、本人が未認証の国外口座へ5,000ドルが送金されたことを同社へ説明していた事案を把握した。しかしながら、OANDAはAML(マネーロンダリング防止)プロセスの遵守、及び疑わしき取引に該当する可能性のある取引としてコンプライアンスオフィサーへの報告義務を怠っていたとのことだ。同社のAMLプロセス遵守違反は、NFAによる2018年調査においても確認されている他、是正処置も不十分なままであったという。

コンプライアンス違反の2件目に関しては、OANDAがNFA法令遵守規則第2-36条(e)に違反しているという。同社の情報システムセキュリティプログラム(Information Systems Security Program)【以下、ISSPと称す】には、トレーニングやリスク評価、セキュリティインシデントへの対応、アクセスコントロールといった項目が抜けているとのことだ。また、OANDAは従業員に対してISSPに基づいた十分なトレーニングを実施していない他、認識したリスクに対するセーフガード措置の実施も怠っていたという。

コンプライアンス違反の3件目は、OANDAがNFA法令遵守規則第2-36条(e)に違反しているという。同規定に関する解釈通知書に基づき、同社は顧客からの苦情への対応・解決プロセスを策定していた。しかしながら、OANDAの顧客サービス部門スタッフが、顧客の苦情を適切に処理しなかったため、コンプライアンス部門による週次レビューも行われていなかったという。また、同社は苦情処理プロセスにおいて求められる文書化も適切に行っていなかったとのことだ。これらの不適切行為は繰り返し行われ、OANDAによる是正処置も不十分であったという。

コンプライアンス違反の4件目は、OANDAが正確なFX日次レポートの提出を求めるNFA財務規則第13条に違反しているという。2020年1月から2月の間に、同社はNFAに対してFX日次レポートを6本提出しているが、未実現損益の数値が正確さに欠けており、提出期限が過ぎてから修正が行われたとのことだ。また、OANDAは2018年、2019年にも繰り返し不正確なFXレポートを作成している他、各種財務関連通知書の提出期限も守られていなかったという。

コンプライアンス違反の5件目は、OANDAがNFA法令遵守規則第2-36条(e)に違反しているという。NFAが繰り返し同社を指導してきたものの、依然としてOANDAはFX業務及び従業員の監督義務を怠っているとのことだ。

OANDAにはNFAの訴状に対して30日以内に回答する猶予が与えられている。正式に告訴手続きが進められた場合、同社はNFAから除名や一時的な業務停止に加え、5件のコンプライアンス違反事案ごとに50万ドル以下の罰金刑などが科せられる可能性があるという。また、OANDAが同協会による申し立てに対する回答書を提出しない場合、これらコンプライアンス違反の事実を認めると共に、意見聴取の機会を放棄したものと見なされるとのことだ。同社が回答期限とされる30日以内に如何なる対応を見せるか、その動向を見守りたい。

release date 2021.03.15

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ニュースコメント

確固たるコンプライアンス体制の構築が求められるOANDA

大きな潜在可能性を秘める米国FX市場では、StoneX傘下に収まったGAINやIG Groupに加え、Trading.comがFXブローカーライセンスを取得して業容拡大を図るなど、顧客獲得競争が激化している。このような市場環境下において、OANDAは更なる顧客基盤の拡大に向けた取り組みを強化している状況だ。例えば、OANDAはCurrencycloudと提携し、米国企業を対象とした国際送金サービスの提供を試みている。また、OANDAはFairXchangeと提携した他、Chasing Returnsとの提携強化などを通じ、フィンテック分野でのソリューション開発も推し進めている。他方で、NASAAが投資家に脅威を及ぼす金融商品リストを公表した。その中にはソーシャルメディアを活用した投資詐欺やFXが含まれていることに鑑みると、海外FXブローカー各社はより安心・安全な取引環境の構築に向けた取り組みを強化する必要があると言えそうだ。中でも、NFAから再三にわたり指導を受けているOANDAが、顧客からの信頼を獲得すべく確固たるコンプライアンス体制の構築を図ることに期待したい。

プラナカンカン
筆者:プラナカンカン
執筆家&投資家&翻訳家&資産運用アドバイザー
著者詳細

国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒

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